Harold Prince and Broadway
芝居好きの家族の元でニューヨークに生まれ育った、ごく普通の演劇少年。彼はやがて、20世紀後半のブロードウェイミュージカル界で最も偉大な傑作の数を生み出す若き偉才となり、やがてはアメリカ演劇界における最高の栄誉、トニー賞を21度受賞するという空前の偉業を成し遂げる。
それが、『ウエスト・サイド・ストーリー』(1957年)、『屋根の上のバイオリン弾き』(1964年)、『キャバレー』(1966年)、『スウィーニー・トッド』(1979年)、そして『オペラ座の怪人』(1986年)をこの世に送り出した、偉大なるプロデューサーであり演出家、ハロルド・プリンスだ。
彼の大いなる人生と珠玉の名作の数々が、彼自身の色鮮やかな記憶とともに描き出される、ワールドプレミア ミュージカル『プリンス・オブ・ブロードウェイ』。このタイトルには、「ブロードウェイで60年以上ものキャリアを築き上げてきたハロルド・プリンス」に、文字通りの意味である〈ブロードウェイの皇太子〉という称号を重ねるという、二つの意味が込められている。
ハロルド・プリンスのキャリアは、20世紀後半のブロードウェイミュージカル史そのものだ。どんなことがあっても挑戦し続けることをやめない彼の姿勢は、数え切れないほど素晴らしい出逢いを導き、その出逢いがブロードウェイ史を彩る最高の作品を生み出した。
人気演出・脚本家ジョージ・アボットの薫陶を受け、20代半ばで若きプロデューサーとして『パジャマ・ゲーム』や『くたばれ!ヤンキース』を成功に導いた時代。作曲家レナード・バーンスタインと演出・振付家ジェローム・ロビンスという巨星たちの野心作『ウエスト・サイド・ストーリー』をプロデュースすることになった機縁。
演出家としての出世作『シー・ラヴズ・ミィ』や、名作『屋根の上のバイオリン弾き』の楽曲を手掛けたボック&ハーニックとの絆。名作詞作曲家コンビ、カンダー&エッブの代表作『キャバレー』の演出に投影された、第二次大戦中の従軍時のドイツでの忘れ得ぬ記憶。
『カンパニー』や『スウィーニー・トッド』などアメリカミュージカル史における金字塔的作品を次々と生み出した、作詞作曲家スティーヴン・ソンドハイムとの最高のコラボレーション。そして、イギリス人作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーとのコンビ作『エビータ』や『オペラ座の怪人』で魅せた、演出家としての圧倒的な才能──。
現在87歳にして、現役演出家として活躍を続けるプリンス。『プリンス・オブ・ブロードウェイ』では、自らの演出のもと、彼が心から信頼を寄せるブロードウェイのクリエイティブチームと実力派スターたちが一堂に会し、伝説の名作の1シーン1シーンに新たな息吹が吹き込まれる。
Harold Prince and the Tony Awards
プロデューサーとして
演出家として
特別賞